藤森千正の仕事

両角邸

 両角邸は、次の点で、藤森製材の木造建築の特徴を最も良く示しています。

 

1.手で解く

 工事の前、ここには、太い木材をふんだんに使った伝統構法で造られた住宅がありました。本工事にあたり、取り壊しとなりましたが、しっかりと組んでいた軸組みを手作業で解きました。

 

2.全てのプロセスを行う

 軸組み、フローリング、天井など木工事にかかわる全ての部分に対して、棟梁自らが木材や材料の選定、製材、加工、施工(建て方、造作など)に至るまでのプロセスを一貫して行っています。

 

3.諏訪の伝統構法

 ・尾引き工法(足固め)で柱の足元を固めます。

 ・差鴨居で軸組みを堅固にし、貫で壁を固めます。

 ・諏訪地方に特有の大軒造りで、霜を防ぎます。

 ・手間をかけた無垢の木を、ふんだんに使っています。

 

※写真撮影の全ては、両角氏と、そのご家族によります。着工から竣工まで、ご理解をいただき、素晴らしい記録を残していただきました。

1988年(昭和63年)

茅野市宮川新井

宮坂邸

  宮坂邸は、自然の恵みを生かすことを大切にし、軸組み、下地、仕上げ、造作の随所に無垢の木をふんだんに使っています。そして、使った木は出来るだけ表しにしています。

 宮坂邸の敷地には、古い板倉があり、現在も利用しています。糸萱の集落には、このような板倉が多くあり、八ヶ岳の裾野に広がる特徴的な集落景観をつくっています。

 信州諏訪地方の気候風土に適した住宅として、寒冷地の気候への対処はもとより、集落景観に適した「住まい」を造り上げるように、心がけました。

2002年(平成14年)

茅野市北山糸萱